24.11.06.

気付いたら金木犀が終わり、ハロウィンが終わり、そして今年が終わりそうです(慄然)。


電撃文庫の著:上遠野浩平「ブギーポップ・オーバードライブ 歪曲王」のkindle版を読んだ。面白かった。読んでいて一本の映画を観ている錯覚を覚えたし、終わり方には思わず破顔してしまった。君、おちゃめだね。

閉鎖された巨大建築ビルを舞台と定めて「歪曲王」と名乗る怪人が己が野望に続く実験をしたり怪獣に襲われたりする展開を繰り広げつつ、そんな非日常のバレンタインデイの中で、登場人物達がそれぞれ過去や現在の友情や恋心などと見つめ合ったりする青春ドラマのような時間を過ごしていたりと、ひとところではとても仲良く同居してくれないような要素を無理なく一冊の書籍にまとめ上げている作者の技量に驚かされる。

どん詰まりの世界と、そこにしか向かえない他に選択肢の無い人々、そして齎されるであろう破滅とそれに抗うように現れるブギーポップという関係性がとても好き。

ブギーポップという一個のキャラクターも魅力的に思えてならない。作中で彼の述べた通り、知恵と勇気があれば出来ないことは無い気がしてくる(阿呆の蛮勇)。